それでもいいんだよって言いたかった
西条彩子です。
第5回官能小説コンテストの開催を知り、それ用に何か書こう。でも何を?
なぁんてことを思ったのが2017年の夏。
まずコンテストの過去の選評を読み漁り、内容ではなく構成要素をいくつか決めました。
「官能」を中心に。ストーリーの中に「起爆剤」と「魅力的なキャラクター」を。それから、「生の感触を描く」こと。
そこで、自身の体験である「緊縛講習」をきっかけに、その世界で生き生きと暮らす人たちを描く、「女王のレッスン」が産声をあげました。
緊縛、と耳にした時、どんなイメージを持たれるでしょうか。
痛い。激しそう。つらい。少なくとも、あまりポジティブなワードではないと思います。
だけどそこに刹那的な美と愛情とリスペクトが潜んでいる。
痛いばかりじゃない。いじめるだけじゃない。大事にしているものがたくさんある。
緊縛も、SMも、フェティッシュなことも、案外すぐ近く、身の周りに存在している。
それでいて、その癖を持ったことで葛藤している人もいる。
そこで生まれたのが、S転した女王様・結衣子。それから緊縛師の瑛二と、バーテンダーでサディストの稜。 それに、主人公で読者の導入役を担う遥香が加わり、物語がころころと転がりだしました。
この作品内では、それぞれがそれぞれの癖を知っているだけに、特異な癖でも決して否定をしないのです。
事実、なにかと変わった世界です。だけど、それで救われる人たちがいる。
この作品を通じて、私は誰かに「それでもいいんだよ」って言いたかった。
フェティッシュって実はとても優しい世界です。
そんな世界の一端を、感じてくださったら嬉しいです。
女王のレッスン
(https://kanno-novel.jp/viewstory/index/13693/?guid=ON )
突然知った彼氏の『縛られたい』願望。驚きつつも彼の願いを叶えるべく、軽い気持ちで訪れたハプニングバーで、前嶋遥香は思い掛けず緊縛ショーに目も心も奪われた。 緊縛師の名は千堂瑛二。野性的な風貌と底深い光を宿す瞳。まるで猛禽類のような彼にたじろぎながらも、緊縛の美しさに魅せられた遥香は、瑛二を通じて様々なフェティシズムに想いを寄せる人々と出会い、自身の価値観を変えていく。
西条彩子拝
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